医学論文翻訳表現集
医学論文表現集その10
『Annals of Oncology』の論文から。(筆者は英、米、仏のドクターたちです)
1) There is a great chance of AA receptors being blocked by BB.
(AA受容体がBB薬によって阻害されている可能性が高い)
:「可能性が高い」を「chance of X being」を使って表現したことはなかった…。検索してみると非常に多くの用例がある。
2) Five AEs resulted in death, two with AB group and three with BC group.
(AB投与群では2例の、BC投与群で3例の計5例の有害事象が死亡に至った)
:直訳するとダラダラしてしまう。とても簡潔な表現。
3) ~, suggesting a possibility that~.
(つまり~ということもあり得る)
:文を切らずに「~, suggesting」でつなぐ方法。ナイス。
4) Triple-negative breast cancers (TNBCs) are associated with poorer outcome.
(トリプルネガティブの乳癌の予後は不良である。)
:そのまま直訳すると「associated with」は出てこない。「associated with」を使うととても英語らしくなる。
5) Triple-negative breast cancer remains a significant challenge to treat.(トリプルネガティブの乳癌の治療は依然として大きな問題である。)
:「問題である」は頻出表現。「remains a challenge」も使いたい。
6) Patients in XX arms experienced increased ORR and PFS.
(XX投与群の患者はORRとPFSが上昇した)
:そのまま直訳しては「experienced」は出てこない。ナイス表現。
7) It is conceivable that~(~と考えられる)
:日本語原稿に頻出の「~と考えられる」は、「thought」や「considered」よりも「conceivable」が近いのではないか。
8) These findings highlight the need for a trial to assess the effect of ~
(~の試験を行う必要性が明らかになった)
:「highlight」は訳せるけど使えない。
9) The lack of XX benefit led to controversy about the therapeutic indication.
(XXの効果が無かったことが問題化していた)
:「問題になる」をいつも「problem」を使って訳すのはイマイチであり悩みの種であったが「led to controversy about」も良いのではないか。
10) The incidence was similar across the treatment arms.
(群間で同等であった)
:3つ以上を比較するときは「across」を使う。
今回も「そのまま直訳しては出てこない表現」を拾いました。ちなみにこの論文には「その結果~」や「また~」や「従って~」を意味する表現は全く使用されておらず、その点でも英訳の勉強になりました。
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