アクセプト率をグッとアップさせるネイティブ発想の医学英語
新刊のご案内
アクセプト率をグッとアップさせるネイティブ発想の医学英語論文
本を出版しました。『アクセプト率をグッとアップさせるネイティブ発想の医学英語論文』というタイトルの本です。アブストラクトや論文を書く研究職の先生方のために書きました。このようなコンセプトの本は私の知る限り存在しません。自称アクセプト応援団長としては、自分で書くしかないと思い立って執筆~出版となりました。
本書は、日本人的発想の英語から抜け出して少しでも『ネイティブの発想の英語論文を書きたい』と願っておられる研究職の先生方を対象にして書いています。いくら表現集を買い揃えて、辞書や表現集をたよりに英文で論文を書いても、どこか日本語的発想の英語の域を脱出できないと悩んでおられる先生方です。Please click on the book.
少しでも日本語英語を脱出したいというのは、英語を書く者にとって共通の願いです。しかし、いくら表現集を買い揃えて眺めていても上手に書けるようにはなりません。「一歩踏み込んだ考察」が必要です。私もまだ道半ば(いや、出発したばかり…)ですが、思うところをまとめてみました。前々から、何も頼るものが無いのであれば、自ら体系化したいと思っていました。
ヒントは身近なところにありました。毎日翻訳している医学英語論文です。私自身もまだ修行の身であり日々悪戦苦闘中ですが、これまでに何百本という医学の論文やアブストラクトの翻訳に携わりました。その過程で、どのように学習すれば少しでも日本語的発想を脱してネイティブ発想に近い英語が書けるようになるかを学ぶ多くの機会に恵まれました。そして、日々、医学論文を翻訳しながら、気に入った表現があれば、『私家版 医学論文表現集』として編集していました。一部はフェイスブックページ:「医学論文翻訳家です」にも掲載しています。それが本書の母体となっています。
私は英→日、日→英のいずれの医学論文翻訳も行っていますが、英→日の論文翻訳をしながら原稿を注意深く観察していると(いわゆる書くように読むこと)、日本語的発想を抜け出して英語らしい英語を書くコツが、少しずつ分かるようになりました。今回、その経験から得られた『ネイティブ発想の英語論文の書き方のコツ』をこのようなかたちで一冊の本にまとめる機会を得ました。
そもそも論文は、日本語であろうと英語であろうと、とても理路整然と書かれており、理解しやすい文章ですが、日本語原稿を英語に訳すとき、どうしても思いどおりの質を維持して英文を書くことの難しさを感じていました。そこで取り入れた練習法がバックトランスレーションでした。いったん英文を和訳し、後日、今度はその和文を英訳して元の英文原稿と比較してその差を考察することで、自分の英作文力の弱点を発見するという手法です。
この学習法は抜群に効果的でした。短期間で英作文力が上がるのが実感できました。想像以上に日英の言葉の意味の守備範囲が異なることを再認識させられました。ふだん何気なく使っている簡単な単語や表現こそ注意が必要です。私はこの差を感じ取り、その『発想の溝』を肌で感じて埋めていくことこそ、ネイティブ感覚の英語の発想に近づく早道ではないかと思っています。
このようなアプローチを試みた書籍は初めてで、まだ不備な点もありますが、大目に見て読んで頂ければ幸いです。きっと「こんな本を待っていた」と喜んで頂けるはずです。今後の論文執筆の一助となればと思っています。続編も編集中ですので、ご意見が頂ければ反映して改良したいと思います。